交趾(交趾焼)(コーチやき)

交趾(コーチ)焼は広辞苑などには交趾地方の中国やベトナムで焼かれた三彩(さんさい)、法花(ほうか)などと記されています。当時の貿易の手段であった海上貿易の船、交趾船(こーち・せん)によって日本にもたらされたことから、このような色彩のやきものを京都では古くより交趾(コーチ)とよばれ親しまれてきました。
交趾焼=中国の焼き物 のことであり、京都ではその精神を写し取る意味合いから 交趾(コーチ)=京都の交趾風の焼き物、または交趾写(コーチうつし)として区別され続けています。
江戸時代には京都を代表する陶芸家は交趾もの、交趾写しと称し、中国の焼き物を和様化して日本人の生活習慣に合う新しい焼き物として発展させてきました。
戦後になって日本で作られた交趾風の焼き物でも習慣的に交趾焼と他称されたり、自称するものも出てきました。例えば、歴代の露石が新聞や茶道関係の書籍で紹介されるときには交趾焼として紹介されています。混同される方も多くなったので私どもも交趾の焼き物として、交趾焼と自称する機会が多くなりました。
従って、交趾焼(コーチやき)とは中国の本歌、日本の交趾風やきものの総称であり、青磁、染付、などのやきものの種類と陶芸の技法を示すような広辞苑などの辞書に載っている一般的な普通名詞といえるでしょう。

 

赤沢嘉則(あかざわ よしのり)

京都市立芸術大学美術学部 卒業
国際陶芸アカデミー(IAC) 会員
京都市立芸術大学美術教育研究会 会員
京都市立芸術大学 陶磁器科 非常勤講師(平成24年度:交趾(コーチ)と呼ばれるやきもの)


交趾の基本色とその呼び方

古典的な交趾の色は三彩と同じ緑(青)・黄・紫の三色です。そして白です。浅黄は第二次世界大戦後、安定して出回るようになりました。瑠璃色は紺青(こんじょう)とも呼ばれていていわゆる青色、ブルーです。

京都では陶家によってその色合いが異なります。現代ではすぐにほかの家の色をそのまま真似ようとする陶芸家も出てきますが。良識があり、代々続く家は他家とは色合いを少しづつ変え遠慮しながらも、その家独自の色合いを維持しています。

● 青交趾(あお・コーチ あおごーち)

緑色(みどりいろ)のうわぐすりの焼き物は緑釉(りょくゆう)といわれますが、交趾(コーチ)では青(あお)とよばれています。

日本の古来からの青色から緑色の色域を青(あお)と呼ばれていたようで、赤沢露石では青交趾と代々呼んでいます。お茶席などの公の場所での会話の中ではあおごーちと呼ばれています。

● 黄交趾(き・コーチ きごーち)

現在、京都でよく見かける黄色の原型を二代と三代の露石が苦心して調合を編み出しました。黄色は焼成方法によって色合いが変化するので同じ材料でも露石の黄色を安定して提供するには根気のいる作業です。時代によって材料が変化します。明治、大正、昭和、平成と釉薬は進化します。二代露石修三は公募展に出品して受賞を重ねることで黄交趾の露石として皆に育てられました。

● 紫交趾(むらさき・コーチ むらさきごーち)

紫色のうわぐすりの性質として泡(あわ)を吹きやすく、ピンホールと呼ばれる小さな穴が焼成後に残りやすいため、昔から面倒くさい色として敬遠されてきました。二代露石は電気窯を京都でいち早く導入してうまく使いこなすことで紫交趾の安定した再現に成功しました。

● 白交趾(しろ・コーチ しろごーち)

白い顔料の調合されたうわぐすり、もしくは透明なうわぐすりの交趾。

● 浅黄交趾(あさぎ・コーチ あさぎごーち)

浅黄(浅葱)色はトルコブルーの色です。青交趾(緑色)と同じ銅が発色材料ですが、うわぐすりが酸性だと、青交趾(緑色)になり、アルカリ性だと、浅黄交趾(トルコブルー)になります。戦後、安定して焼成ができるようになり、いまでは基本色となっています。浅黄交趾も青交趾と呼ばれることがあります。

● 瑠璃交趾(るり・コーチ るりごーち)

鮮やかな青色(ブルー)から藍色(あいいろ)までコバルトによる発色が基本です。生成される他の顔料との配合によって様々な瑠璃(ルリ)色が特徴です。現代の私たちの日本語の青は瑠璃と呼ばれます。

● 萌黄交趾(もえぎ・コーチ もえぎごーち)

萌黄(もえぎ)色とは黄緑(きみどり)色のことです。つまり、黄色と緑色が混ざった状態、もしくは薄い緑色の場合、萌黄と呼ばれることがあります。